この手があいつの身体をなんども辿ったのかと思うと鳥肌が立った。

この瞳があいつのあられもない姿を何度も何度も映したのかと思うと、今はただ、詰まらない俺の肌色が揺らいでいる粘膜を凝視せずにいられない。
この耳があいつの声を聞いたのか。
そう思うと唇を近づけずにいられない。

「秋丸」

体育教師顔負けに綺麗な筋肉のついた上腕が俺の背中に回され、向かい合った膝の上に座らされる。
飽きるくらい何度も重ねた行為。
面白味のかけらもない単調な手のひらの動きに、這いずりまわる舌先に、首筋辺りで感じる熱い息やくぐもった声に、あいつの断片を探す。
それだけで反応する身体。
もう、すぐにでも、いつでも達することができる。
目の前の男は凄いなと嬉しそうな笑みを浮かべ更に激しい律動を繰り返し、最後に強く腰を打ちつけた。
その衝撃の中で強い喜びを感じていた。
この男に興味を持たれたのは人生最大の幸運だった。

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