〜もう一つの世界〜

□NERV本部へ
2ページ/4ページ






「……あぁ、赤木さん……!!」





開いたエレベーターの扉の先にいたのは、赤木リツコであった。

リツコは前のようにシンプルな水着の上から白衣を羽織っている。



「全くもう……!!」



多分、昔のように来るのが遅かった自分達を迎えに来たのだろう。


というか、昔よりも遅いだろう。





「……遅かったわね。私が司令から貴方達を迎えに行けと言われたんだけど。迷子になったのね?」



心底呆れたように話すリツコは、シンジの返答を一切待たずに、視線をミサトの方に寄越していた。




「例のサードチルドレンね?赤木リツコよ。リツコでいいわ。ここの技術面の最高責任者だと考えてくれればいいわ。そして貴方の隣の人は戦闘面、作戦面の最高責任者なのよ?……見えないけどね」




とリツコは説明して、彼女に握手を求める。シンジの顔は、なぜだか赤くなっていた。恥ずかしい。




「私も、ミサトでいいです……」



ミサトは彼女が言ってきた、サードチルドレンという単語に首をかしげていたが、あまり深く考えずに彼女はその握手に応える。




「あ、それと。ちょっとした手土産よ。しっかり読んでおいてね」



すると、リツコはずっと腕に持っていたファイルをミサトに手渡してきた。そして、その題名は。







『ようこそ、NERV江!』







と書かれていて。初めて見るそれに、ミサトは興味と好奇心が勝ったのか、ファイルを開いていく。




「……あぁッ!?それはッ!!」




それを見ながら、シンジはしまった!!と、冷や汗を流していた。



多分あれは、自分の部屋に置き忘れた、本部案内用の書類である。



それはつまりだ。あのゴミ部屋をリツコに探させたのだ。最悪だ。




男としてどうだとかは、この際は関係ない。片付けと料理が自分の唯一の特技だったのに、一体なにをやっているんだ。恥ずかしい。




「あの、ごめん。赤木さん……」





「あら別に気にしていないわ。ゴミのような執務室からそれを探しだした労いなんていらないわ。強いて言うなら、今日じゃなくてもいいから散らばる紙を片付けなさい!くらいかしらねぇ?」




ブリザードが吹き荒れる程の冷たい笑みに、シンジは凍りついた。




「……か、片付けます……!!」



今日じゃなくてもいいが、片付けをしなければ!!と堅く誓った。






.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ