〜もう一つの世界〜
□『イマ』は『現実』
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「な、なんでないんだ……!?」
そして数分後、シンジは死に物狂いで日めくりカレンダーを、床の白い紙の中から探し回っていた。
「……みっ見つけたああぁ!!」
シンジは、ズタズタになっている紙切れらしき紙を上空に掲げた。
そう、ただの紙切れをだ。残念ながらそれはシンジが必死に探しているカレンダーではなかった。
「うわああぁぁ!!ひどいよ!皆が僕の気持ちを裏切ったんだ!」
とかなんとか絶叫しながら、そのズタズタな紙切れを力任せに引き裂き、さらにズタズタにした。
誰も彼の気持ちなど知りもしないし、ましてや裏切ってもいない。
「……やっぱり僕は……あぁ!」
『いらないんだ!!』
と叫ぶ前に、彼にとっての希望ともいうべきモノが、画ビョウによって壁へ突き刺さっていた。
というか、日めくりカレンダーを探す際は、普通は壁に刺さっているかどうかを最初に確認する。
「あぁ、カレンダーだ!!僕の希望の物が、今そこにいる!!」
所々が間違えているようなシンジの台詞だったのだが、生憎その台詞に突っ込むべき人間達は、この場にいなかったのであった。
シンジは、必死になって見つけたそのカレンダーを、必死の形相で食い入るように見つめている。
ちょっとだけ血走っていて怖い。
「……!」
その書かれている月と日。それを見たとたんに、彼の口が歪んだ。
まさに、『ニヤリ』という効果音が最適な嫌な笑みである。
流石はゲンドウ譲りである。
「……成功したんだッ……!!」
と、シンジはボソッと呟いた。
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