短編小説

□サダメなんてなくなればいい
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「は、はぁ……!」




と私は深くため息をついた。


すると近くにいたマーキュリーが、すぐに近くに走り寄ってきた。





その顔は心配そうに歪んでいる。でも、その顔、視線が私には鋭利な刃物となって突き刺さる……。





「どうしたんです、クイーン?」



クイーン……。

今、一番聞きたくなかった名前……。勿論私の名前なんだけれど。



「あ、亜美ちゃん……私……」



と私が、無意識にマーキュリーの名前を亜美と呼んだら、彼女は私の口を、優しく塞いでいた。





「いけませんよ、クイーン……。私は、亜美ではありません。マーキュリーなんですから……」




と亜美ちゃんに、悲しそうな笑顔でそう促された。亜美ちゃんまで、そんなことを言うのね……?





いつもみたいに、お勉強会であたしに勉強を教えてよ。いつもふざけてたあたしや、美奈子ちゃんに笑いながら注意してよ……。




自然に私は、涙を溢していた。

亜美ちゃん……、いや、マーキュリーだって涙を堪えている。私だけが、苦しいんじゃないんだ。


だから弱音なんか吐いてはならない。弱さを顔に出してはダメだ。


すぐに涙を拭う。
私は笑顔を作った。



「ごめんなさい。少し疲れてるみたいなの。散歩してくるわね?」




それだけを言って、私はそこから走り去っていった。背中に、マーキュリーの視線を浴びながら。







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