短編小説
□俺の!私の!プリンセス
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「おい聞いてくれ。俺、一目惚れしちまったらしいんだよ……!」
こんな俺の言葉に夜天と大気の野郎はため息を一つつきやがった。
「……はあ!?星野!何言ってるのさ。言い寄られちゃ捨てて、言い寄られちゃ捨てての繰り返しなのに?嫌だねーこういう男って」
と夜天は俺を見ながら言った。本当にコイツは容赦がねぇなぁ!!
「な……なんだよ!!一目惚れを信じてねぇな!?一目惚れのパワーってのは、この地球のエナジー100個分に等しいんだぜ!?」
とほんの少しだけだけど、大それた事を言ってみた俺がいる。
俺ってばちょっと恥ずかしいぜ!
「うん、そりゃね?君が本気になったとこなんか見た事ないし?」
おまっ、夜天、おまえっ……!?俺はいま、猛烈に悲しいぞ!?
「お、お前、あれだろ!?お前は貰ったラブレターを読まずに破り捨てたりするから、俺の気持ちがわかんないんだろうがよぉ!?」
あぁ、これは公の場で言っちまったら、間違いなくファンは減るだろうなぁ……。そうしたら夜天は、ふっと目を反らしていた。
でも……これで、ちょっとはわかってもらえたのかぁ……!?
「ふぅ……。でも夜天の言葉には、私は賛同できますけどねぇ?」
く、ぐおぉおぉッ……!!
ちくしょう……!一番厄介な大気を、俺としたことが忘れてたぜ。
「いんやぁ、今回はマジだよ!!名前は知んねぇけどさ!?今回こそ嘘じゃぁないんだぜっ!?」
「はいはい……。冗談はここまでにして、私たちも行きましょうか?言い寄られちゃ捨てる星野に、ラブレターを破り捨てる夜天?」
この痛い大気の言葉に、俺と夜天はブスッとした顔で歩いていく。
これから、俺達が行く所はたくさんの人が集まる場所だ……。
そうだ!!ライブ会場だぁッ!!
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