シリーズ物
□最悪な出会い
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一先ずうさぎは女子の中でも一番に騒がしかった美奈子に近寄る。
「ね、ねぇねぇ美奈子ちゃん!」
美奈子は、うさぎに気づいたのか、彼女の肩を乱暴につかみだす。
「うさぎちゃん!今日はスリーライツがここに転入するのよ!!」
目を、キラリと輝かせている。
美奈子の目は誰も寄せ付けないような凄まじい妖気を発している。
「レイちゃん気づいてそう……」
とうさぎは軽く苦笑していた。
違う高校のレイは、霊感やら、祈祷やらで妖気がわかるので、彼女の妖気が伝わっているだろうに。
「……んん?……すりぃ……らいつぅ?……よくわかんないなぁ」
しかし、今の美奈子の言葉に、全く聞いた事のない単語があったので、うさぎは首を捻っている。
そんなうさぎに気づいたらしく、美奈子は目をこれでもかといわんばかりに、かっぴらいていた。
「あのスリーライツようさぎちゃん!もしかして知らないの!?」
「うん。これっぽっちもね!!……まあ、あまりテレビ見ないし新聞に載ってたとしても私は、天気予報くらいしか見ないからさ?」
と、うさぎは無邪気に答える。
そうだった。この少女は、見た目はメルヘン大好きに見えても、中身は完璧な現実主義者だった。
うさぎはほぼニュースしか見ない。つまり、ミーハーな美奈子よりもニュース情報には詳しいのだ。
美奈子は軽く、目眩を覚えた。
「うさぎちゃんったらいくらなんでもそれはヤバイわよ!いま凄い人気のスーパーアイドルよ!もはや知らなかったらモグリよ!?」
と美奈子は信じられないといった表情で、彼女に捲し立てている。
そんなことを言われたって、知らないものは知らないのである。
「へえ。……それってさ……やっぱり、格好いいアイドルなの?」
うさぎのこんな非常識な質問に美奈子は思わず固まってしまった。
「……格好よくない奴が……アイドルとして超絶な人気になるわけないわようさぎちゃんたら!!」
と少々溜め息混じりに言う。
「たははは、そりゃそうか!!」
と、うさぎは納得したようだ。
「じゃあさ……美奈子ちゃんはスリーライツの誰が好きなのよ?」
「勿論全員に決まってるわよ!」
今度は、うさぎが溜め息をつく。
「そうじゃなくてさ。一番は?」
美奈子は、彼女の質問に腕を組みながら、低い声で唸っている。
「……やっぱり、夜天君よ!!」
「……夜天君ってどんな人?」
「……夜天君はねぇ、凄く可愛いの!!怒ってる時のあの顔、表情一つ一つが最高なんだから!!」
美奈子は、少しだけ興奮しすぎたのか、最後は息を切らしていた。
「……ふ、ふぅん……?」
スリーライツ、見てみたいかも?
とうさぎは、スリーライツの姿見を想像しながら、考えていた。
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