灰男

□禁忌と神様は紙一重
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咎落ちって、なにを咎められて、なにをどう裁かれるのだろうか。






「ねぇ。……どうなの、かな?」




と問われた言葉に、ミランダは少しの間だが、間抜けな顔になる。





「それは……難しいわね……?」



リナリーからこんな話題が出るとは到底予想だにしていなかった。


咎落ちとは、私達の同胞のエクソシストが、私達を裏切る行為をした時に起こる裁きのことなのだ。




神が勝手に選び、戦えと勝手に命令し、それに背けば罰せられる。



いい加減で、自分勝手な神が仕出かしそうなことではあるのだが。





「リナリーちゃんったら、どうかしたの?貴方らしくないわね?」



と聞くと、彼女は此方を向く。とてもじゃないが苦しげで、見ている此方が息が詰まりそうなほど。



すると、彼女は何も答えることはなく、そのままでミランダの胸に勢いよく飛び込んでいったのだ。



彼女の行動にミランダは驚いたのだが、その彼女の体が少し震えていることを感じとったので、そっと背中に手を回していた。





「ミランダ……私は、怖いんだよ……。また今の生活に、スーマンのように苦しんでいる人がいるのかもしれない……!エクソシストでいるのが、苦痛でしかない人がいるのかもしれない……!!」




と震えながらそう話すリナリーの頬を、ミランダはそっとつかむ。

少し驚いているリナリーの唇に、彼女は優しく自分の唇を当てた。

そして、彼女は柔らかく微笑む。





「それは、別に貴方のせいではないでしょう?勿論誰のせいでもない。だから貴方が苦しむのはお門違いなんじゃないかしら……?」




違う?と首を傾げてそう問いかけると、リナリーはわからないというように首を横に振っている。





「そんなの……そんなの、私にだってわからないんだもん……!」





「貴方は、言ってくれたわよね?皆は同じ道を歩むんだから、一人で背負うなって……だから、私も貴方の痛み、苦しみを一緒に背負うからね。……いいでしょう?」




すると、リナリーは沢山の綺麗な涙をこぼしながら、笑顔で頷いていた。そして、さらに彼女の体にギュウッと力強くしがみつく。




「ミランダ、ありがとう……!!私、皆のことが……大好き!!」




と伝えてくるリナリーに、彼女は優しい笑顔で、それに答えた。







end
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