灰男

□僕はお前が……
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「……ふう……!」




ミランダは教団での手伝いをしていたので、少しだけ疲れていた。



だが、自分が資料やコーヒーをぶちまけたりしてしまって、人の役に立ったとは、お世辞でも到底、言えそうにはなかったのだ。





「……あぁもう!!……今日もダメだったわ……私は、本当はいらないんじゃないかしら……!!」




とか、なんだか。ネガティブな気分で自分の部屋へと戻っていた。


部屋の中には可愛らしいが不自然な扉が一つポンと置いてあった。




「あ……あわわわわっ……!?」




ミランダは慌てながら、直ぐ様部屋へと入って素早く鍵を閉めた。


すると、タイミングよくその扉がバコン!!と開いて、小さな塊がミランダに向かって飛び付いた。




「やっほぉーっ!!ミッランダー!!会いたかったよぉーッ!!」




それはロード・キャメロットであった。こやつは、絶対、確実にここにいてはいけない人間である。




彼女は、ノアという、我々人類の敵なのだ。なのに。この我々の砦にいつも普通にこうやって部屋にいられるとなかなか都合が悪い。




この子が部屋にいる時、ミランダはうまいこと外を歩けないのだ。


いや、外には行けるには行ける。だが、仲間にうっかりと口を滑らせてしまいそうで酷く怖いのだ。





食堂からロード用の食事を貰うときにも、大変なことこの上ない。



これだけでも彼女にとっては、立派な重労働と変わりないのだ。




「ろ、ロードちゃん……会いたかったっていっても……!!まだ2日しか経っていないわよ……?」





そう、この彼女とは、2日前に会ったばかりなのである。とはいっても、戦場の中でではあるが。





「あれは会ったって言わないでしょ?他のエクソシストが邪魔するんだもん!僕はあいつらマジぶっ殺したくなっちゃったもん!!」




確かにあの日は一度ロードがこちらに向かってきたことがあった。


多分、どさくさ紛れに一度くらい抱き締めようとしたのであろう。



だがしかし、どさくさ紛れが少しも通用しない。パッツンとウサギとアレンが、邪魔をしたのだ。




いや。彼らのことだ。ロードが、ミランダを隙をついて攻撃しようとしている。と思ったのだろう。





と深めに考えあぐねているミランダの首から耳にかけて、ロードが強くねっとりと舐めあげてきた。




「ひ、ひやああぁっむぐッ!?」





と突然の快感にも似た感覚に、思わず叫び声をあげた彼女の口を、ロードは、慌てて両手で塞いだ。




ここで、誰かに部屋へこられても、二人ともが困るからだった。



ドアを破壊された経験がある。


と、ミランダが珍しく愚痴を言っていたことを思い出した。




ちなみにロードは関係のない話。





「うわわわぁぁッ!!っと。ゴメンねミランダ!まさか、そこまで驚くとは思ってなくてさぁ!!」





と慌てながらも、謝っているロードをミランダは涙目で見上げた。

プッチーン!!

何かが、ロードの中で弾けた。





「ねぇ……ミランダ、君が悪いんだよぉ?覚悟してよねぇ……?」




「えっちょっロードっきゃぁ!」




今夜は、延々とミランダの悩ましい声が、部屋から聞こえていた。










(ちょっとラビ、ミランダの部屋を見てきて下さいよ!!なんか悩ましい声がするんですけど!!)


(エロイ声がするな……いやいやいや!!そこはアレンが行けよ……ゆっユウでもいいさよッ!?)


(ふざけんじゃねぇよ!てかファーストネームを呼ぶなこら!!)


(三人うるさいんだけどッ!!)


(すんませんでしたリナリー!)







end?
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