灰男
□大切な人?
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あぁ、なぜ貴方は消えてしまわれたのでしょう。私はこんなにも貴方を好きでいたというのに。
あぁ、貴方は私を置いていなくなってしまった。貴方は、弟子をも欺いてどこかへ消えてしまった。
私は貴方が好き。でも貴方が、私を好きかだなんてわからないわ。
もしかしたら、私の一方通行だったのかもしれない。貴方は世界中に大切な人がいるんだもの。
……私は貴方の、大切な女達の一人だったのかしら。
そうだったのかもしれないと私は苦笑した。涙はなぜか流れない。
だって失踪はしたけれど、遺書とかはなかったんだもの。私は貴方が生きていればそれでいい。
なんて傲慢な考えなんだろうか。
クロスさん。私は貴方の愛人になりきることができていたかしら?
(愛人にさえなりきれていなかったら、貴方の部屋で涙を流そう)
fin