灰男
□最後の神
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いつものように、私はミランダとお茶会をして楽しんでいたわ。私はそれだけで幸せだったのよ。だってその時だけは貴女の視界には私しかうつらなかったから。
本当は、貴女のことを閉じ込めておきたいの。誰にも見られないように。貴女の素敵なところを、全部隠せるように。
でも、その時の貴女の相談事を聞いて、なにかがガラガラと崩れ落ちていった。ミランダ、貴女がいけないのよ。私にそんなことを相談した貴女が悪いんだからね。
「え……えぇと、ミランダ?……今、なんて言ったの?よく聞き取れなくて」
聞いてはいけない。聞いてはいけないと分かっていたのに、聞き直してしまう。
「うん、あのねリナリーちゃん……私ね……?あの人のことが気になっていてね……!!」
と、ミランダは眩しい笑顔を私に向けながら、その人のことを見ていた。
すると、私の心臓が破裂するみたいに、ドキドキと脈打ってきた。あぁもう、痛いしうるさいわ。
「……えぇッ!?あの人を!?」
と、大きな声になった私をミランダが慌ててたしなめた。真っ赤になった顔が可愛い。そして、心が痛い。
「……り、リナリーちゃんったら!!大きな声を出さないで頂戴なッ!!恥ずかしいじゃないっ!!」
彼女は本当に恥ずかしそうに、かなりそわそわとしていた。
あぁ本当に。なんて可愛らしいのかしら。
なんで、これが私に対しての行動じゃないのよ。とても腹立たしい。彼女に腹が立つんじゃなくて、彼女に想われているあの人間が腹立たしいわ。
「……うふふふ!!ごめんなさいね。……で、私に何かできることは?何でも言ってちょうだい!」
できれば、私に対しての愛の言葉を……あぁ、一番私が痛々しくて吐き気がする。
「あのね……?どうすればあの人に振り向いてもらえるのかって……私も私なりに考えたんだけど全然思い付かなくって、それで……ね?」
と聞かれて、私は、自分が笑みを作っていることに気がついたの。
「ふふふふ!……ならミランダ、いい方法があるのよ!!ただしね。夜にしか、出来ないことよ?」
貴女をね。こちら側へと無理矢理に引きずり込む方法を、ね……。
「えッ!?……お、教えてリナリーちゃん!!どんな方法なの?」
「夜になったら教えてあげるわミランダ……手取り足取りね……?」
ミランダ……貴女がいけないのよ。こんな相談をよりによって私にする貴女がいけないのよ。
私は、こんなにも貴方を愛しているのに!!
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