灰男

□守るべき使者
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ええと。僕、アレン・ウォーカーは、とある任務に来ています。一緒に来ているのはリナリーとミランダさん。それとついでにリンクです。

ちなみにリンクは、僕の監視をまだしています。僕が何言っても信じてくれないわからず屋です。

しかもそこまで任務に協力してくれるわけでもない。つまりオマケです。お子様ランチについてくる玩具です。

今回の任務の内容は、ドイツの、とある田舎町の奇怪調査でして。コムイさんはいつも通り、簡単な調査だけだよー。とかなり楽観的に言ってますが。

これまでの任務を思い出してみるとですね。調査だけだった試しが、一度もないんですよね。

「コムイ兄さんは、ああやって言っていたけれど……。絶対に、しこたま強いアクマは出てくるわよねぇ……?」

リナリーは、心底嫌そうな顔でミランダさんに話しています。

他の輩、まさに僕達ですね。を寄せ付けない真っ黒なオーラがリナリーから出ています。とても怖いです。

だから僕達は、リナリーとミランダさんからは二歩くらい離れたところから、あとに続いています。

「そうよね?出なかった試しがなかったし。奇怪ってことはイノセンスの関与もありうるってことでしょうからねえ……」

のほほんと、リナリーにそう返事を返したのはミランダさんです。


「そうよねぇ、あぁもうッ!!本当に本当に……憂鬱だわ……!」

とリナリーはため息をついた。


「そうよね……」



とミランダも。


「でもね……?ミランダがいるから全然、退屈じゃないわよ!!」

リナリーはいきなりミランダを抱き締めた。嫌がらせですか、リナリー。僕だって彼女を抱き締めたいのに。僕が貴方を守りますって言ってみたりして。

「……ふふふふっ、まぁ。もう!!リナリーちゃんったらッ!!」


とミランダさんは、ふんわりとした笑みをリナリーに浮かべてから、顔を真っ赤に赤らめていた。

ちょ何ですかそれどこの少女コミック的な展開ですか?しかもミランダさんの満更でもない顔。満更でもない顔。大切なことですから。

そしてリナリーが彼女とかなりの至近距離。あぁあれはとても羨ましい。
僕は、もう我慢できませんよ!!

「羨ましい……!!羨ましいんですよリナリーああああぁぁ!!」

そして僕は、無意識にその二人の甘甘した場所へとむかっていた。



「KYというのを学んできなさい。きゃーアレン君の隣に見えないアクマが!!」


僕は、リナリーが千年伯爵、いや。それ以上の怪物に見えました。ふと、気がついたら、僕は遥か上空を、力無く舞っていました。


「きゃッきゃああああぁぁ!!」


誰かの声が聞こえてきました。これは、ミランダさんの叫び声でしょうか。

「うぉっ……!?ウォーカーああああああ!!貴様このじゃじゃ馬あああ!!ウォーカーを貴様の剛力で殺すつもりか!?ってぎゃあああああ!!」


リンクも僕と同じく舞ってきたようです。でも、剛力は明らかに失言ですよリンク。


「ね、ねえリナリーちゃん……?リンク君とアレン君大丈夫かしら!?」


と、心配してくれるミランダさんがいる。ミランダさんは天使。異論は認めません。


「いいのよっ!あの二人はあの距離的に任務先に早く行けるでしょ!ね?行きましょ?アレン君と、その付き人!頑張ってねッ!!」


と……。僕達を心配してくれているのは……我らがリナリー様。

リンクは、付き人と呼ばれてしまったようです。悲しすぎません?そして僕は思った。ラブラブのカップルの邪魔をしてはいけない、と……。








fin
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