灰男
□シトと使徒。使徒とシト。
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「あぁクソ……かったりいなぁ!!」
とノアの一族の双子の、デビットが手をバタつかせながら思いきり叫ぶ。顔のメイクが濃い。
「ほんと……かったりぃなぁ!!かったりーなぁッ!!……ヒヒッ!!」
とデビットの真似事のように喋るのは双子の一人のジャスデロだ。キラキラと光る変な玉を、頭からぶら下げていることが印象的だ。
「こんなにかったりーときは、遊びに行きてぇよな!デロ!?」
「行きてーな!うん!ヒヒッ!」
と叫びあって、ノアの方舟から走って出ていこうとする、双子。だがとある人に遮られた。
「……絆のノア、ジャスデビ。……勝手に、しかも独断で遊びに行くためこの方舟を出ていいとでも思っているの?」
と凛とした声の女性であった。
「ヒヒッ!?あ、ミランダだ!!デビット!ミランダだよッ!!ヒヒッ!!」
と、ジャスデロはその女性の名前を何回も呼んではしゃいでいる。デビットは女性を睨む。
「なんでだよミランダ!なんで遊びに行っちゃダメなんだよ!?……俺らは、暇なんだよ!」
とそんなミランダにイライラと駄々をこねるのはデビットである。ミランダと呼ばれた女性は絶対零度よろしくな表情で二人を見る。
「仕事が残ってますから。まず、貴方達は暇ではないでしょう?貴方達には明日にはパラグアイ。明後日にはロシアに向かい千年公のAKUMA製造用の道具を増やしてもらいます」
とミランダは片手に持つ資料に目を通しながら淡々と教えていく。その彼女が持つ資料は、あり得ないくらいに分厚い代物である。
「パラグアイとかどこだッ!?しかもロシアは寒いんだぜ!!こんなファンキーな服装の俺らに普通行かせるかよ!?殺す気なの!?」
「そ、そうっスよ!ヒヒッ!!ロシアなんか行ったら凍死しちまいますよ、俺らッ!!」
奇抜な服装を理由に、ミランダの出張発言に猛抗議をするジャスデビ。
「……貴方達が、ノーパンだろうとなんだろうと私には関係ありません。凍傷や凍死を心配するなら、ロシアに行く時は服装を変えなさい。それで簡単に解決できます」
と一斉に二人に抗議されたミランダは、冷静沈着にそう両名を一刀両断した。
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