灰男

□私は神の子 貴方は偽の神の使徒
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白髪の少年は、勇敢だった。そして、その少年はとても偽善的だった。


黒髪の女性は、とても残酷だった。しかしその女性の表情はとても優しかった。



「……待てッ!!ミランダ!!」


白髪の少年が私を呼び止める。その目に燃えるのは燃えたぎる殺意。その額につけられたシルシは、ふざけた呪いの証。

ほんとうに、この子が大嫌いなんだけど。
こういう自分の正義のために生きてる子。可愛いけど、面倒くさいんだもの。別に白髪が嫌いってワケじゃないんだけどね。


「なに?私に何か大切な用でもあるのかしら。……アレン・ウォーカーさん?」

私はこの子が本当に嫌い。だって、私が大切に手塩をかけて育ててるアクマ達をすぐに壊してしまうんだもの。


ねえ、知ってる?貴方達エクソシストがポコポコ簡単にアクマを壊しちゃうから、レベルが上がってくれる子が少ないのよ?

日本にはアクマはいるんだけど。もうあそこには人間はいないんじゃないかしら。

それに、一番大事な家族達を殺そうとするんだもの。私は、貴方達が嫌いよ。

「ねえ?用がないなら帰るわよ、私?」


そんな浅はかで汚いニセモノのカミサマなんかの言いなりになるだなんて。とても滑稽だわ。

でも、これだから面白いのよね。


「待てと言ってるんだ、ノア!」


ノアを強調しているのかしら。私は、笑いが止まらない。前言撤回しておくわ。やっぱり可愛くない坊や。

「あらあら、やっぱり貴方はおかしな子。……なぜ、私は貴方の言いなりにならなければいけないのかしらね?呪いを受けた白いエクソシストさん?」

私はルルベルさんがいつも着ている物に似ているスーツをもう一度、きちんと着直した。戦っている最中に着崩れしちゃうのよね。こう見えても、身嗜みは大事だから。

でも少しだけ、赤色に染まってしまったわね。これは汚れだけれど、その色は私が大好きな夕日と同じ色なの。少し生臭いのが欠点かしらね。


それに、血はね。服とかに付いちゃうと、なかなか落ちないんだから。アクマ達に、きちんとこれが臭いも色も落ちるまで洗えって言わなくちゃね。

血が洗い落ちなければどうしようかしら。お仕置きでアクマになにかお遊びをさせてみようかしら。ロードちゃんもアクマでいろいろなことで遊ぶのが好きだし、きっとどんな遊びでも喜ぶわ。


「ねえアレン・ウォーカーさん?なにをそんなに怒っているの。少しは落ち着きなさいな!ふふっ……その可愛い整ったお顔が台無しよ?」

あぁ、私もあまり学はないけれど。この少年がここまで怒っている理由くらいはわかる。

貴方の仲間を消してしまったからでしょうね。この赤い色は、その仲間から出た色。その仲間の体は、もう跡形もなくなっているけど。時空の彼方へサヨナラしたから。


「なぜです。なぜ、こんなことをするんですか!?……貴方は、そんな人ではないはずです!!」

この少年が、強く吐いた言葉に、私は少しだけ吐き気がした。これこそ主人公気取りってやつなのかしら。偽善者もここまできたら末期だわ。


「はぁ。……アレン・ウォーカー。貴方も物分かりが悪い子ねぇ。私が今消してあげた人も同じことを言ってから、無様にどこかへ消えていったわ!」


その言葉に、少年が一層強く強く眼差しをきつくした。その目で私を殺すのかしら。いいえ、貴方は殺せるのかしら。こんなにも甘い言葉を簡単に口に出す貴方が。

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