〜もう一つの世界〜
□彼女達の決意
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「……き、君は……一体……?」
何者なんだい?と聞くよりも先にミサトが焦ったような表情で、先の方を必死に指差していた。
「え……!?な、なんだッ!?」
シンジもそれに釣られてしまい、彼女の指先の方を見てみると。
「じ……自衛隊の、戦闘機!?」
その戦闘機は、あの使徒にやられたのか、半分以上が減っていた。
そして今現在、上空を飛行している戦闘機達は、なぜか使徒から徐々に退避しているのが見えた。
「こ……こりゃあマズイ……!」
シンジの顔から、血の気が引く。
「……え?」
ミサトは、そんなシンジの顔を見てから、小首を傾げている。
「N2地雷だ!!伏せてッ!!」
とシンジはミサトに覆い被さった。その彼の行動は、勿論ミサトを爆発の衝撃から守るためである。
その爆発の衝撃で、ルノーがもみくちゃにされながら横に縦に斜めにと、乱雑に回転していった。
「うわいゃぁあああぁッ!!」
彼の絶叫は一段階進化していた。
一方のミサトは、車の中でうまく息が出来なくなっていた。無論、それの原因はシンジの胸板に顔が圧迫されているからであるが。
「う……ッ!!むぅ……ッ!!」
ミサトは力無く、トントンとシンジの胸板を、軽めに叩いている。苦しいという合図なのであろう。
「うわあああぁぁぁあッ!!」
しかしシンジは気づかない。彼は鈍感なのか、ただのアレなのか。
そして、やっとその衝撃が止み、シンジはミサトの体から離れた。
「……ケホッ!ケホッ……!!」
ミサトは、その拍子に勢いよく咳き込みはじめた。砂が少々、口の中に入ったこともあったのだが、やはり、息苦しかったらしい。
ルノーはなにかの奇跡なのか、滅茶苦茶に回転しながらも、終わったときに横転はしていなかった。
「だ、大丈夫だったかいッ!?」
そして、シンジはミサトに、体の無事を必死に聞いていた。
「息……できなかったです……」
とミサトは話してから、シンジを睨んでいる。シンジは普通に会話できるミサトに安堵はしたが、彼女の冷たい視線が突き刺さる。
(話せるんだ……よかった。だけど、視線が痛い……!!そりゃそうだ。危なかったし……!!息ができなきゃ怒るよね、うん!!)
シンジは、ましてやミサトが少々怒っている理由が自分にあることには、気がついてはいなかった。
おめでたい奴なのか無知なのか。
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