〜もう一つの世界〜
□そして、再会
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「はあ……はあ……や、やっと着いたよ……遠すぎるよ……!!」
シンジは、やっとこさNERV駐車場へと到着したようだ。駐車場には、主に白一色や黒一色の乗用車がずらりと停められていた。
「えーっと……あ、あったぞ!!……うん。やっぱりルノーだ!」
そこには一台だけ、不釣り合いの青色のルノーが置いてある。それは、あまりにも目立っていた。
「もしかしてミサトさんは、自分の車が一瞬で分かるためにあの青いルノーに乗っていたのかな?」
彼女はただ単に車種が好きだったために選んだだけであって、そこまで考えてはいなかったのだが。
シンジは、車のキーを鍵穴に素早く差し込んでから車に乗り込む。
懐かしい乗り心地と独特の香りがシンジを優しく包み込んでいた。
「……懐かしい匂いだな……!」
と一言だけ呟いてから、車のエンジンを、慣れた手つきでかける。
ブォン!!という、簡素なエンジン音が駐車場には響き渡った。
「……よし!いい具合だな!!」
そして手慣れた動作でレバーを操作すると、ルノーが、徐々に振動し始める。その振動はルノーが動き出したという合図でもあった。
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