短編小説
□主人公は誰の右固定
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「あー、今回ここに集まってもらった理由はですね……途中降板の我々で主人公論議のためです!」
と途中降板された一人、メイカーというのか、大気光というのか。
髪の毛を振り乱しながら皆様に訴えかけている。というかオールバックだから振り乱すも糞もない。
「まあ、主人公というかな……。内部が一番にお熱いのだろう?」
と冷たく話すのはベリル様。エンディミオンのことを連呼しておきながら、月の姫様をやたらと盗み見てた人の台詞とは思えない。
「ふむ。む!……美味いなこれ」
そんなベリル様は、青汁を啜る。
彼女はどうやら健康第一らしい。
「そういう弱音を吐いておるからダメなのだ!セレニティを我が手にする!という気持ちを持て!」
と机を叩きながら叫ぶのは皆の変態デマンド。変態は変わらない。
強めに机を叩くものだから、ベリル様の青汁がこぼれてしまった。
しかも、服にかかってしまった。彼はベリル様の逆鱗に触れた。
「一張羅ぁあぁぁ!!殺す!!」
「ふん!!やってみろおぉ!!」
と二人は取っ組み合いになった。
というか一張羅だったらしい。
「……ああ、もう。話が上手くまとまらないじゃないのよ。……アンタ達もね!仲が悪いんだから、隣にいちゃダメでしょうよ!!」
と、ヒーラーだか夜天光だかもため息混じりで仲裁に入っている。
性格もだいぶ丸くなったらしい。
人一倍キラキラした衣装に包まれているギャラクシア様は、笑う。
本当に豪快に笑う。
「つまりはアレだ。王子とか内部をそっちのけにしてしまって、我々だけで誰が一番うさぎとお似合いなのか、ということだな!!」
と彼女が叫んだ瞬間、やたら騒がしかった連中が大人しくなった。
さすがはギャラクシア様だ。
だてに衣装が無駄に激しくない。
「……変態王子は排除だな!!」
と今まで喋らなかった、自重していたようにも見えるネヘレニア様が叫んだ。自重していなかった。
いきなり名指し、しかも排除ね発言された変態も黙ってはいまい。
「ちょっと待てぃ貴様!!私がなぜ排除されねばならんのだ!?」
と、デマンドは強めに吠える。
どう考えても、変態王子だからだろう。それ以外考えようがない。
「……いっそのこと、うさぎの命を無くそうとした奴を排除しちゃいましょうよこの際だから!!」
とファイターなのか星野光なのかが、名案とばかりに話し出した。
「バカか貴様は!それでは我々が全員排除されるではないか!!」
とベリルは、激昂する。そんな恐ろしい彼女の服は青汁まみれだ。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!なんで私達まで排除なのよ!?……納得がいかないんだけど!」
と、ヒーラーが首をかしげる。
「いいかスリーライツとやら。貴様らも最初うさぎを蔑ろにしていたではないか!排除だ排除!!」
とベリル様が声高々に叫んだ。
確かに最初スリーライツはうさぎ達をかなり警戒していた。勝手に星野がうさぎを庇ったというのに、他二名はうさぎに怒っていた。
あんな理不尽はないだろう。
ちなみに前回のボス達は、そこらへんをすべてVTRで見ている。
「た……確かに、あの時のことを突かれると痛いですね……!!」
メイカーもため息をついた。あの頃はプリンセス探しがうまくいかず、三人ともピリピリしていた。
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