短編小説
□ミカヅキ
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今日も、いつものような激しい戦いが終わった。その帰り道だ。
レイちゃんと私と衛さんは、一緒になって家まで帰っていた。
「……あ、うさぎ!!ちょっと!!空を見てみなさいよッ!!」
とレイちゃんに明るく言われて、ふと何気なく空を見上げてみる。
そこには綺麗な月が欠けていた。
綺麗な三日月だ。
「……うわぁ、凄ぉい!!……とっても綺麗な三日月だね!!」
本当に、綺麗だった。そして、とても綺麗に孤独に輝いている。
でもそれは言わない。言ったらレイちゃん達はとても悲しむから。
でもそれすらも、レイちゃんにはお見通しで――――――――――
「……あんたは、まぁた変なことを考えてるんでしょうッ!?」
と優しい光を持つレイちゃんの瞳が、私の瞳を優しく包み込む。
なぜ私の考えることは、レイちゃんにはバレてしまうんだろう。
「レイちゃん……霊視以外にも何か、凄い能力を持っているの?」
と尋ねると、レイちゃんはいつもの意地悪なレイちゃんに戻った。
「ばかうさぎ!アンタの考えてる事なんてしょうもない事だらけだからバレバレなのよぉだッ!!」
と額を軽くデコピンされた。するといつものような喧嘩が始まる。
「こ、こらこら二人とも!!」
衛さんが苦笑して私達を宥めた。
あぁ、そうなんだ。私はこのいつものような生活が大好きなんだ。
皆と帰りに楽しく談笑してみたり、学校を遅刻しちゃったりして、学校が終わって、放課後に皆とクレープとかアイスを食べて―――
「レイちゃん、衛さん、今はいないけど、皆、皆大好きだよ!!」
だから、私を残して死なないで。
end