短編小説

□私は使命を……
1ページ/2ページ





私の使命は、銀河全てを守護に、銀河全てを包み込むことだった。




そして、延々と続くカオスとの戦いに終止符を打つことも、私には同時に課せられていたのである。



いつまでこの戦いが続くのかは、自分にもわからなかったのだ。



ただそれが、何十年もの歳月になることだけは、わかっていた。




何年もの歳月が経とうとも、尽きることがない殺戮。たくさんの惨い犯罪。尽きることがない敵。




……私の銀水晶が、全てを狂わせているのかもしれないのだ。

そして、私という存在さえも。



私には、わからなくなっていたのだ。戦いというものの意味を。

平和。というものの意味を。



そしてカオスとの戦いの意味が。





……そして、私は逃げ出した。

この意味を持たない世界から。



私は、きちんとした世界の見え方さえもわからなくなっていた。




空の青々とした色。

緑黄色の葉達の色。

真っ赤に輝く太陽の色。


いま、私の目には白か黒か、しか映らない。そして、この世界の汚れしか、見えないのである。



共に戦ってきた仲間達さえも、恋人も、娘さえも、この視界にとらえられなくなったのである。



もし視界にとらえられたとしても、もう白黒にしか映らなかった。



そんな自分にも、私は嫌気がさしてしまったのかもしれない。




……あぁ。また、今日もどこかの銀河で、殺戮が起こっている。





それを救う仕事を担っているのは、セーラーコスモスである、私。



そしてその仕事を投げ出したのも、セーラーコスモスである、私。






fin
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ