短編小説
□私は使命を……
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私の使命は、銀河全てを守護に、銀河全てを包み込むことだった。
そして、延々と続くカオスとの戦いに終止符を打つことも、私には同時に課せられていたのである。
いつまでこの戦いが続くのかは、自分にもわからなかったのだ。
ただそれが、何十年もの歳月になることだけは、わかっていた。
何年もの歳月が経とうとも、尽きることがない殺戮。たくさんの惨い犯罪。尽きることがない敵。
……私の銀水晶が、全てを狂わせているのかもしれないのだ。
そして、私という存在さえも。
私には、わからなくなっていたのだ。戦いというものの意味を。
平和。というものの意味を。
そしてカオスとの戦いの意味が。
……そして、私は逃げ出した。
この意味を持たない世界から。
私は、きちんとした世界の見え方さえもわからなくなっていた。
空の青々とした色。
緑黄色の葉達の色。
真っ赤に輝く太陽の色。
いま、私の目には白か黒か、しか映らない。そして、この世界の汚れしか、見えないのである。
共に戦ってきた仲間達さえも、恋人も、娘さえも、この視界にとらえられなくなったのである。
もし視界にとらえられたとしても、もう白黒にしか映らなかった。
そんな自分にも、私は嫌気がさしてしまったのかもしれない。
……あぁ。また、今日もどこかの銀河で、殺戮が起こっている。
それを救う仕事を担っているのは、セーラーコスモスである、私。
そしてその仕事を投げ出したのも、セーラーコスモスである、私。
fin