短編小説

□乙女のポリシー
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メイクアップ……。



このたった六文字の言葉を叫ぶと、自分の中の戦士としての血を呼び覚ますことができるのだ。



別に、気持ちが、人格全てが変わってしまうわけではないが。



……ただ、自分の戦う意思を呼び覚まして、少しばかり打たれ強くなる『気』がするだけだ。




すぐ諦める気持ちを、無理矢理奥に心の奥に押し込んで、戦う気だけを無理矢理前へ引き起こす。



それが、この、メイクアップ。

という、たった六文字だけでそのたくさんの事が起きるのだ。


だから、私はこの言葉が怖い。


戦っているときに、自分自身に恐れをなす時が多々あった。


妖魔だとしても。……私は一体、何をやっているのだろうか?

と、一人で思うときがある。


妖魔を倒す。

倒すということは殺すと同等の意味になるのではないのか?と。




もしも倒してきた妖魔達が、本当は人間だったとしたならば。

一体、何人殺してきたのだろう?


今は仲間がたくさんいる。

そう、信じあえるたった5人だけの、戦う仲間だったのだ。




私や美奈子ちゃんが5人の中でも、戦っている敵の数は多い。




最近は妖魔というより、人間の容姿に酷似している気がする。



……それのせいでその気持ちは私の中で、どんどんと大きく膨れ上がっていくのである。


だが、私は皆にそれは話さない。

こんな話、相談なんかをしたら、皆に迷惑をかけてしまうからだ。


だからこの気持ちは、私の体の奥に無理矢理に縛り付けてでも、表にでないようにするのだ。


この時に

『メイクアップ』

は、願ってもみない言葉なのだ。

この言葉だけが、私のこの気持ちを無理矢理にでも奥に縛り付けて、封印してくれるからだ。



皆を守るため、私は自分の気持ちを捨て、敵に対して、鬼になる。




そう。例え皆が目を反らすほど、残酷な、非情な倒し方でも、皆を守れるのなら、構わないんだ!!












なぁ、そうなんだろう。うさぎ?







fin
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