シリーズ物

□最も大切な貴方を
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妖魔が倒された。それは勿論、セーラームーンの必殺技のおかげ。


倒した後、皆力が抜けたみたいにふわりと、笑っていたわ。



そりゃそうよね。

妖魔が倒されたのに、まだ警戒してるほうが逆におかしいものね。



でも、警戒しなかったことが、今回の災難となってしまった。



「ヴィーナス!!後ろッ!!」




それは一瞬。
セーラームーンの叫びが聞こえたあと、私は、すぐに後ろを見た。




妖魔が、私を狙っていた。いや、もう攻撃が放たれていたわ。

私の心で、恐怖と後悔が交じる。


だって私は、皆のリーダーだっていうのに、後ろの気配に全く気がつかなかっただなんて。



これはちょっと……笑い話にするには、きつすぎる冗談よね?




攻撃は、私の目の前。もう避けるのも出来ないくらいだった。



私は諦めた。
いいえ、諦めざるをえなかった。




だけど、私はこの攻撃に当たらなかったの。掠りもしなかった。




そして、その代わりに、背中を物凄い力で押されていたのよ。





押したのは、誰、なの?







私の背中を押した人が、私と同じタイミングで地へと伏せた。いえ、叩きつけられてしまった。





私はその人を見て冷静さを失う。




叩きつけられた、華奢な体。口から吐かれる、アカイモノ。


縛っていた金髪の髪が散らばる。

だって、その人は……。





「セーラームー……ン……?」






私の……大好きな。大切な、守るべき、守られるべき人だった。





「……美奈子……、ちゃん……無事ね……?……よかった……」





な、なんでよ……!?……なんで、私の無事を確かめるのッ!?




……貴方のほうが、とても、大きな怪我をしているのにッ!!




……いいえ、貴方が怪我をしてしまったのは、私が原因なのに!?




「な……んで……!!」




私は精一杯に聞く。声がかすれて聞こえてなかったかもしれない。



でも、うさぎちゃんは、ふわっと笑顔になった。気が、した。









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