シリーズ物

□あぁ、なんて欺瞞
1ページ/3ページ






ゲラゲラと、笑いあっている。





意気揚々と、はしゃいでいる。




少しだけ不安なことを相談する。



楽しげな笑い声が聞こえてくる。





ゲラゲラ、ケラケラ……。





笑い声を出しているのは、家族。




そして家族に囲まれるのは、私。




皆で、笑う。笑う。笑っていく。





それはもう、二度と叶わない。




「もう……誰も残っていない」




とうさぎは答えた。



笑い声が止み、静けさが残る。


ここは、闇。闇。闇だけがある。



闇の中にいるのは、私。


独りになってしまった、私。


私を独りぼっちにしたのは、私。




そして私の周りには、『ワタシ』がたくさん集まってきていた。




皆、笑う。ずっとずっと、笑う。



なんだか、とても楽しそうに。今が、幸せだと言わんばかりに。





私はたくさんの『ワタシ』に囲まれていてすべてに取り残される。




そして、私が立っていた場所だけが、ガラガラと崩れ落ちた。




私も一緒に、闇から闇へと。


私を待つのは、いつも闇だ。




『バイバイ』




その様子を、たくさんの『ワタシ』が笑みを浮かべて眺めていた。





堕ちていく私をさも、嬉しげに。




全員がニヤニヤと笑っていた。








.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ