ごった煮部屋

□起きない貴方と起きた貴方
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「……あぁ、疲れたわね……!」





……今、起きた。体の疲れは取れない。……夏実は、隣でぐっすりと寝てる。起きる気配は、ない。



この子は早く起きたことがない。しかも、放っておくと遅刻する。




だから、私は夏実にちゃんと声をかけるの。朝起きたときに数回。仕事に行くときにだって、数回。




「……ほら、夏実?起きてよ!」



と強めに体を揺する。多分この子にとっては、痒いくらい弱い力。

前はかなり嫌々だったのに、最近はこのやり取りを楽しみにしている自分がいることにも気づいた。




まるで夏実のお母さん。……この年で、母は嫌。せめて姉よね!!





「うぅ……あと10分……!!」




と、布団の中から聞こえた。まったく、夏実らしい答えね。いつも10分以上は寝ちゃうくせに。


確か、夏実は今日は休みの日だからってお酒を飲みすぎてたわね。




「夏実ったら……全くもう……」




そんなやり取りでも、時間は少しずつ削られていってしまうのに。





うん。……でもねぇ、今日は起きてもらわなきゃ困るんだけどな。


今日は、仕事の合間をぬってやっとこしらえた、休みの日なのに。






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