アダムに挑んだモノ達
□『無』
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時々、私はわからなくなるの。
勿論、ミサトのことが。
最近ちょっとしたことが起きてから、ミサトが変わった気がする。
ちょっとしたことっていうのは、加持さんのことなんだけど。
……あの時のミサトは、電話に入っていた少し長めの留守電を聞いた後に、……泣き崩れてた。
多分あの留守電は、加持さんからだったんだと思う。だって聞こえてくる声がそうだったんだもん。
それに、多分加持さんにはもう会えないんだろうな。とも思った。
ミサトが、床に泣き崩れてるのを見て、そう直感したのよ。
そう。その時からだった。ミサトが少しだけおかしくなったのは。
ミサトは以前よりも明るくなったわ。空元気なんだろうと思う。
あのバカシンジは、かなり鈍いから気づいてないんだろうけど。
多分アイツ以外は皆気づいてる。
ミサトは明らかに、無理してる。
リツコも心配してたし、マヤも心配してて。というかNERVの女職員はほぼ全員心配してるわね。
それに一緒に生活してるから、夜中にたった独りでひっそりと泣いていることだって、知ってる。
私は、アンタの力になれていないの?私じゃぁ力不足なのかな?
アンタの周りには、こんなにたくさんの人達がいるっていうのに。
勿論、私。そして鈍くてバカだけど、人一倍に優しいシンジ。
気にくわないけどファースト。
これまた気にくわないけど、リツコやマヤちゃんだっている。
なぜ皆を頼りにしてくれないの?
アンタが、作戦部長という大切な役割を担ってるのは知ってるわ。
だけどね。
アンタが本当は普通の女の体つきで、華奢で。心は本当は弱いってこと、私は知っているんだから。
人間は、決して独りで生きているわけじゃないんだ。必ず周りの人間達に助けられて生きている。
これを教えてくれたのは、他でもない、ミサトだったよね。
だから、私はアンタを助けるわ。
この惣流・アスカ・ラングレーに二言はないわ。覚悟なさいよ!!
fin