短編小説

□俺の!私の!プリンセス
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「ああもうっ、疲れたぁ……!」




とか言いながら、夜天はソファーに倒れ込んでしまい、そのままスヤスヤと寝ちまったらしい。コイツの寝息が聞こえてきている。



……ファンがコイツのこんな顔を見たら、卒倒すんじゃないか?



「あ、ああぁあぁッ!!」




と大気がいきなり叫ぶ。俺も驚いたが夜天も相当驚いたみてぇだ。



「あいたぁッ!?」



……ソファーから落ちてやんの。俺は声を殺して、笑いを堪える。




「いったいなぁ……!!いきなり大きな声出さないでくれる!?」



「あぁ、すみませんでした!二人に言わなければならないことがあって!……明日から学校に私達は行くらしいんですよ……!!」




「へぇ……?まぁ……ライブ続きで行けなかったしなぁ……!!」




しかも、二年近く。まぁ、二年の間の半分は情報集めにキンモクセイに帰ってたからだけどな……。

知らない奴等だらけだろうな。飛行機から降りたときのあの女の子、いたらいいんだけどなぁ……。




「はぁ。ったく……わかったよ」




……おぉっと!?今回は珍しくも夜天が文句を言わなかったな。


……でも今さらお子ちゃま要素が抜けたからって、お子ちゃまはお子ちゃまなんだけどなッ!!



「星野、今何か言ったでしょ?」



と、夜天は俺を鋭く睨んできた。



「……い、いんやなにもぉ!?」



こ、コイツ地獄耳すぎるぜ……!

俺達は明日に備えていろいろと準備した。教材やら制服やらは事務所の人が勝手に手配したらしい。

事務所に三人分用意されている。……俺達に媚びを売ったってなぁんにも出てこねぇのにな……。


あの方に声が届けばそれでいい。

どこにいるのかも分からない、俺達だけのプリンセスに……!!

とは、思ってたんだけどさ……。


俺は……あのお団子の女の子にも届いてほしいとか思ってるんだ。

名前も知らないあの子……名前だけでも、いや、せめて……声だけでも、聞きたいんだ……!!


あの不思議な暖かい光を出しているあの子へ……届いてほしい!!






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