POEM

□僕の瞳 君の瞳
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知り尽し

悟したその目は

僕に冷たい視線を送った


僕はそんな彼女が好きだった

大好きだった

彼女の氷の瞳が

僕の死んだ目を 心地よく冷やしてくれた。


彼女は僕に

「死んだら人の瞳はどうなるんだろう」と聞いた。

僕は答えを見付けられずに

「僕みたいになるんだよ」

と言った。

暖かい瞳で彼女は笑った。

僕の曖昧な気持を

冗談に変えてくれた。

そしてすぐに

暖かかった瞳は

いつものように冷たくなっていった。


僕が次に彼女を見たときは

瞳だけじゃなくて

〈彼女〉も冷たくなっていた

何故?どうして?

そんなこと考えるより先に

僕の瞳が熱くなった。

彼女の二度と熱くならないその瞳を見つめると

耐えられなかった。

一度も熱くなったことがない僕の瞳が熱を持ってる。

凄く熱い。

冷たい瞳に熱くされるなんて初めてだった。

それでも そこから出てくるものは冷たかった。


僕の瞳は冷たくなった。


今度は死んだ瞳じゃない。

彼女と同じ冷たい瞳に。

彼女を思い出すと熱くなれる瞳に。


僕は彼女にもらったんだ。

氷の瞳を。

僕はこの瞳を大事にしていかなければいけないんだ。

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