小説

□時と死と悲しみ
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ゴキッ



「いたたたたた!!痛い!!痛いです!!!痛いです!!!!」





「うるさい餓鬼ですね。もうちょっと可愛らしく叫びなさい、アロア君」




ゴギッ…ボキッ




「ぎゃああぁああぁぁあ!!!!!!」








今俺はゲート本部内の医務室にいる。

そして俺に乗っかってニタニタ気持ちが悪い笑い方をしているこの男は、名医とバールは言っていたが、医者らしい。



なぜ俺が此処で叫ばなければいけなかったというと、話が少し長くなる。








俺はムーンと出会ったあの日、俺もムーンを追いかけてゲートを出ていくつもりでいた。

だが、俺が割れたガラスから飛び降りようとした瞬間、バールが強く引っ張り戻して鋭い目をしながら俺にこう言った。

お前のピースはまだ見つかっていないだろう、と。


正直俺は、そんな事どうでも良くてバールがうっとおしいと思ってしまった。


最初こそ嫌々ではあったが、ピースを探してくれるのと同時に俺を鍛えてくれるらしいので、俺はしぶしぶ頷いた。


ゲートの本部長なんてほとんどウィグニーの頂点みたいなものだし、そんな人の好意だから受け取ろうと思ったのだ。



それに、ムーンの居所は掴んだのだから、鍛えてからでもいいだろうという考えもあった。



…そう、シルリスの所にいると。




それからはもう特訓特訓の日々。

主にウルとだが、毎日一対一での訓練バトルを積み重ねているのが、今の俺の週間だ。


そして今日は、バール直属の隊に席を入れてるコノイという男と一対一でやりやった。

結果は見事に惨敗。


俺の首は捻挫をしてしまい、左を向けないという重傷を負ってしまった。


下手をすれば首を折っていた所だ。




コキッ…



「はい。おわりましたよ。

あら?どうしたんですかぁ?泣いちゃってあらら。」



そして今にいたる。

このニタニタ先生はどうやら人を冷やかす事が好きらしい。


俺は先生を睨みながら、あまりの痛みのために出てしまった涙を手で拭った。



「…先生、絶対楽しんでますよね」


「生きがいですから。」



もうそれ以上返す言葉が見つからず、俺は黙る事にした。




 
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