小説
□赤く染まれば※
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俺と兄は、双子だけど元々似てはいなかった。
髪なんて俺は父親似の栗色にウェーブがかかった髪質なのに、ルイスは母に似て赤茶のストレートだ。
背だって育っていくうちに俺ばっかり180を越えそうになった。
じゃあどうして兄を好きになったかって…
それは、
兄の血だ。
俺は決して吸血鬼なんかじゃない。
普通の魔法使いだ。
だけど、俺には少し変わった趣向があった。
赤いものを見るのが好きなんだ。
赤いものなら何でも見ていると、ほころんでしまう程の執着が、物心ついた頃からあった。
そしてその俺が見て来た赤いものの中で1番綺麗で鮮やかで興奮してしまうほどに惚れ惚れしてしまったのが、
兄の血だった。
兄の血を知ったのは本当にささいな事だった。
小さい頃に大きな庭で鬼ごっこをやっていた時に、兄が鬼だった。
兄は大きなアジサイを避けきれず、枝で足を切って転んでしまったんだ。
俺は痛そうなルイスを見て、いても立ってもいられなくなって駆け寄った。
その時に手にこびりついた兄の血に酷く興奮した。
そこから
何かが俺の中で狂い始めたんだ。
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