頂き物

□いただきます
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*いただきます


「……ねっむ」
「あんたってよく寝るよね」
「うるせえ、オメーと比べんな」

 オレが平均。オメーが異常なくらい寝なさすぎるんだよ。
 ぶつぶつとぼやく三井さんに、なのかもね、と小さく笑いながら返す。

「何だったら寝ちまってもいいけど?」
「……ここでかよ」
「うん。ちょうどベッドの上だし」

 俺の部屋での最近の彼のベストプレイスらしきところは、ヤニがこびりついたタバコ臭いシングルベッドだ。
 以前、恋人の部屋に来てすぐベッドに転がることに対して「誘ってんのか」と尋ねたことがある(ような気がする)。
 もちろん、余程びっくりしたのか彼はあの大きな目を真ん丸く見開き、バカヤロウと俺を罵ったが。

「……やっぱやめた。何されるかわかったもんじゃねぇ」

 今ではだいぶ忘れたのだと思ってたんだけど。
 怪訝な顔でこちらを睨む三井さんだが、相変わらずベッドから退こうとはしなかった。

(言っている事とやってる事が違ぇよ)

 その矛盾を突き出すようなことはせずに、にへらと笑ってベッドにゆっくりと乗り、詳しく言えば三井さんの真ん前に移動した。

「何もしないから、ほらほら」

 そうして彼の肩をとんと軽く手の平で押す。
 高校三年の、しかも運動部現役の男性が普通に倒れてくれるはずもなく、三井さんは持ち前の反射神経を使って咄嗟に両手を後ろについた。

「何もしないだぁ? 嘘つけ」

 その地を這うような声に、あとちょっとの距離なのに、今日はむりかと諦めて潔くベッドから下りようとしたときだ。
 首に長い両腕がまわされ、重力のままに彼を押し倒す形でベッドになだれ込む。

「……ま、いいけどよ」

 俺の下で顔を背けてそう呟く三井さんはいつもと違って大人しくて、顔は真っ赤に染まっていた。
 結局のところ、あんたもしたいのね。
 予想外の展開にゆるむ頬はとめられなかったけど、それでもいい。
(いただきます、)





(withoutのキリカ様に捧げます!洋三で甘いのをということでしたが、期待に添えていますでしょうか;とりあえず、相互リンク感謝です!)
08.04.13
 

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