小説
□大好きなアナタへ
1ページ/3ページ
湘北高校体育館。
ただ今の時刻、19時30分。
居残り練習を終えて、三井と宮城は現在二人切りでモップ掛け中。
「三井サン、お疲れサマ。」
「…オゥ。」
「ね、今日うち来れます?」
(…そら来た。)
最近部活が終わると、必ず宮城は俺に同じコトを聞く。その、なんつーか。つ、付き合うように、なってから。
キ、キスとか、手繋いだりはしたんだけど。
なんつーか、その先は…まだなワケで。宮城が俺のこと、大事にしてくれてんのは、わかる。
…けどやっぱ、怖い。アイツの家に行くってのは、そーゆーコトなわけで。
俺は思い切れねェ。
「あー…悪ぃ。今日は無理。」
「えー!今日もォ!?」
「いや、遅くなるとババァがうるせェんだよ。」
「そっかぁ…ま、仕方ないスね。大事な大事な元ヤン箱入りムスメだもんね。」
「テメェ誰がムスメだ!誰が!」
「俺の可愛いハニーが。さて、そろそろ帰りましょ三井サン。送りますから。」
「必要ねェ!ハニーじゃねェ!女扱いすんなよ!」
宮城はいつもそうやって、大分遠回りになるのに俺を家まで送る。前に俺が、下校中に絡まれてから。
だからほんとは、言えないけど、宮城にゃすげェ感謝してんだ。
さ、させてやってもいい、と思って、る。
けど、……やっぱマジで怖ぇんだよ!痛いの苦手だしよ。
だからどーしても、さっきみてーに断っちまう。
…俺、宮城にどう思われてんだろ。
アイツやっぱ、…シてぇのかな?
いつまでもヤらせねーと、俺…嫌われちまう…かな。
,