小説

□恋心
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金曜の、昼下がり。

気に入ってる、静かな非常階段。

授業サボるとき、俺がここにいること知ってんのは、


…お前だけ。






「三井サン!」

「オゥ、んだよ。」

やっぱりここにいた、と言いながら、俺の隣に腰を降ろす宮城。


「今日なんスけど、体育館使えねェらしくて。外練にしますね。」

「…ん。わかった。」



宮城は、かっこいいと思う。


部長になってから、前よりしっかりしたし。

目の色はキレーだし。

チビだけど、足は長ぇし。

腕は、悔しいけど、多分俺よりしっかりした筋肉がついてる。

宮城が笑ったとき、なんつーかよくわかんねぇけど、俺ソワソワするし。

バスケしてるときとかはもう、なんつーか最高。

絶対言ってやる気はないし、俺がそう思ってることもバレちゃいねぇと思うけど。

話し掛けられただけで、こんなに。


こんなに、



「三井サン、聞いてマス?」

お前見てて聞いてない、だなんて言えなくて。

「ん?あぁ、うん。部活外練なんだろ?」

「違いますよ。今日うち来れるか聞ーたの!」

はぁ、と溜め息をつきながら。

まったくアンタ人の話全然聞いちゃいねェんだから、とぶつぶつ言ってるお前さえ。


なんつーか、…大好きで。

愛を感じないスよ、なんつって拗ねてるテメェに、聞かせてやりたい、コノ気持ち。


「…どうしてもっつーんなら、行ってやらねぇこともねぇ。」

だけど、素直にゃなれなくて。

「ハイハイじゃあどうしてもってことで。俺のハニーは素直じゃなくていけねェよ。」

「おいコラ。テメェだぁれがハニーだ、誰が。」

急にスピードを上げた血の巡りを、落ち着かせるように。

宮城の頭を小突いてやる。

「アンタっスよ。…頭押すな!」

「縮みそうでコエーか?」

「うっさい!」


なんでそう人が気にしてることをズケズケ言うんスか!なんて。お前はまたぶつぶつ言ってるけど。


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