小説

□めざまし
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俺の最愛の人は

「三井さん、起きて下さい。」

寝起きが

「三井さん、起きて。」

本当に

「…っせぇな。むこ、行け…よ」

本当に

「起こせって言ったの、三井さんじゃないですか。」

本当に

「ねぇ三井さん、起き「あーー!!!テメェうるせーんだよ!バカ!…あと5分っ!」


………悪い。



自分のベッドで、もそもそと布団をかぶりなおす三井は、本当に可愛くて。起こし難くはあるのだが。


(部活、あるって言ってたよなぁ。)


仙道は、まだセットしていない自分の髪をくしゃくしゃといじりながら苦笑した。

昨夜の情事を思い返せば。

三井が起きない理由が、自分にないとは言い難く。

ためらいがちに三井の布団に手を伸ばすが、やっぱり布団をひっぺがすような無慈悲な真似は出来なくて。

(じゃあ、本当に、絶対に5分だけ!)

後でどうして時間に起こさなかったのか、と責められることを覚悟しながら、部屋とベッドの主は朝食の準備に取りかかった。




5分後。




「三井さん、5分経ちましたよ。起きて。」

「……ん…。」

「朝飯作りましたよ。そろそろ起きなきゃ、間に合わないんじゃないですか。」


それからも2、3度呼び掛けたものの、反応はなく。

「…スクランブルエッグが、冷めますよ。」

「…ぅん……」

三井のリクエストに応えて、とろとろの半熟にしてあるのに。

おまけに、さっきから三井の「ぅん」だの「ん…」だの。

聞きようによっては喘ぎ声のようなそれに触発されて、股間の状態が思わしくない。

(ヤバいな…。俺が今トイレ行って抜いたりしたら、三井さん確実に遅刻だ。)

いっそ目の前で無防備に眠る三井に、処理に協力して頂いて。

それと同時に目覚めを提供するという手がないわけでもないのだが。


以前その手を使って、2週間お触りどころか電話やメールまで無視されるという窮地に追いやられたため、最近は朝は極力控えている仙道だ。


(…仕方ないか。ちょっと時間かかるけど。)



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