小説

□許せない
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「邪魔すんぞー」

「いらっしゃいミッチー。遅かった…ね。…どうしたのその顔。」







んーなんか来る途中絡まれちまってよぉ、なんて言いながら、靴を脱ぐ俺のコイビト。

頬には擦り傷。
唇は切れてる。
首筋には引っかき傷。


…それから、破られた制服のシャツ。


「何人?」

「3人。」

「…大丈夫なの?」

「オゥ。」

「ほんとに?」

「へーき。」

なぁ、消毒ねぇ?って質問に、腰を上げて。

引き出しを漁る。

漁りながら、もう一度。
「ほんとに大丈夫?」

軽く笑いながら、貴方は大丈夫だと言うけれど。


「じゃあ胸とケツ見せて」


俺の言葉に、ビクリと体を震わせた。


「…ほんと大丈夫だぜ?」

「うん。確認だけ。」

「……俺、汗かいたから今シャワー浴びてぇ。」

部活終わった後だもんね。
「すぐ終わるよ。」



それから俺の部屋から、少しだけ音が消えて。


耐えかねたように、
ポツリ、ポツリと。


ミッチーは言葉を紡ぎ始めた。


「…入れられて、ねェよ」

「うん。」

「……ちょっとだけ、触られて、」

「うん。」

「ちょっとだけ肌噛まれた。」

「うん。」

「けど、ズボン脱がされる時に、振り払えて。逃げられたし。」

「そっか。」

言い終わって俯いてる、
184センチもあるこの人が、今は小さく小さく見えて。
頭を撫でた。
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