企画部屋

3万&3周年記念企画。蒼紅
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「政宗殿のわからず屋っ!」
「ha!わからず屋はアンタだっ!」



此処は奥州筆頭が住まう城。

血気盛んな若い兵が多い為、賑やかなのは日常茶飯事。

だが今日はどうやら様子がおかしい。

「政宗様!朝からなにを騒いでおられるのですか!」
「小十郎!お前からも言ってやれ!」
「某は悪う御座らぬっ!」

城近くの畑にまで聞こえてきた喧騒に竜の右目こと片倉小十郎が駆けつけると、城の主である政宗と、一月前に輿入れした幸村が取っ組み合いの喧嘩をしていた。

「……っ……!?」

その様子を見た小十郎は驚愕とともに固唾を飲んだ。



「政宗様!奥方!!その手に持たれている物をお離しください!!」



二人の間を見れば二人とも槍を握っていた。

それは炎の様に紅い槍…そう、武田の武人として戦っていた幸村の愛槍の一本だ。

「離すのは政宗殿で御座る!」
「NO!離すのはアンタだ!」

それをまるで奪い合うように対峙する二人に状況が判断できない。

考え方の違いなどが原因で小さな喧嘩をすることは度々あったが獲物まで持ち出したことは今までなかった筈だ。

とりあえず獲物だけでも奪い取らなければ、と小十郎が思った瞬間、黒い羽が舞ったと同時にその場にそぐわないおどけた声が耳に入る。



「はいはい!ふ・た・り・と・も!離してね!」



「猿飛…!」

声のした方を見れば、輿入れと同時に奥州に仕えることになった忍、猿飛佐助の姿がそこにあった。そしてその手には先程まで奪い合っていた紅い槍が収まっている。

「なにをする佐助!」
「グッジョブ!猿!」

安堵の表情を見せる政宗とは正反対に、怒りの表情を露にする幸村に佐助は眉を寄せ、咎める口調で言い放つ。

「あのね旦那…じゃなくて御前。御前はもう武士じゃないの。武器なんて握る必要ないんだよ?それなのになにやってんの?」
「……っ…!」

その言葉に、幸村は眉を吊り上げ、唇を噛む。

「…佐助までその様なことを申すのか!」
「は?」



「輿入れをしたから槍を持つなとっ…!着飾られ守られていろと申すのかっ!」

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