企画部屋

ユキムラとユキムラ
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「じゃあ俺、中等部に帰…」
「時音殿から美味しそうな匂いがするで御座るー!」

目的も果たし中等部に戻ろうとすると背後から声が聞こえる。

慌てて振り向くと髪を後ろだけ伸ばし、首から昔のお金を6枚首にかけた男子生徒が目をキラキラさせながら立っていた。

「あら、真田くん。」

時音が口にした名前を聞いて良守は硬直する。真田とは政宗が勘違いして睨み付けてきた原因の人物と同じ名だ。

「クッキーで御座るか?」

時音が真田と呼んだ人物は良守を挟んだまま時音と会話を始めてしまい良守は身動きが取れなくなってしまった。

「そうよ。この子、あ、この子は私の幼馴染みの良守っていうんだけど、良守が作ったの。」
「…どうも…墨村良守で…すぅ!?」

時音が良守を紹介しはじめたので良守は幸村の方に向き直り軽く会釈をしようとした瞬間、良守は身動きがとれなくなってしまった。

「…えっ…な、なにっ!?」

今、良守から見えるのは茶色のふわふわした髪の毛。

「コラッ!幸村なに抱きついてんだよっ!?」

背後から政宗の声がそう言った瞬間、良守はようやく幸村に抱き締められているのだと気付く。

「なっ!なんですかっ!?」
「甘い匂いがするで御座る!」

慌てて離れようとするが幸村はがっしりと良守を掴んで離さない。

「く、クッキーの匂いじゃ…。」
「クッキーだけでは御座らぬ!もしや貴殿はよく甘味を作られるのでは御座らぬか?」

そう言いながら見てくる幸村の目はキラキラと物凄く眩しい。

「…まぁ…趣味でケーキとかはよく作りますけど…。」

狼狽えながらそう答えると、幸村の目はさらにキラキラと輝き出す。

「おぉやはり!某の鼻に狂いはないで御座らぁぁぁあ!」

それに加え耳元での大声量での叫び声に良守は固まってしまう。
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