企画部屋

ユキムラとユキムラ
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「もしかして真田くんに会いに来たと勘違いして睨んだわけ?」
「Yes!」
「…はぁー…。」

はっきりと返事をする政宗に呆れて時音は溜め息を吐く。

「…良守…なにかこの人に言われたかもしんないけど人違いだから。」
「…ひ…と違い…?」

子供のように頭を撫でられながらなんとか涙をとめた良守はまだ近くにいた政宗を見上げる。

「そう。このクラスには真田幸村っていう子がいるから、この人、勘違いしたってわけ。」
「ユキムラなんて紛らわしい名前言うからだろ?」
「…伊達くんは黙ってて。」

横から口をだす政宗を睨むと時音は良守の方へ体を向ける。

「ところでどうしたの?アンタが高等部にくるなんて珍しいね?」
「え?あ!忘れてた。」

時音に言われ、自分の目的を思い出した良守は時音の前に綺麗にラッピングされた少し大きめの袋を差し出す。

「昨日、話してたクッキー持ってきたんだ。」

昨日の帰り道に今日、調理実習でクッキーを作ると話したら時音が「いいなー。」と言っていたので良守はわざわざ高等部にまで足を運んだのだ。

「あ、本当に?良守はお菓子作るの上手いから嬉しいよ。ありがとう。」
「うん。」

クッキーを受け取った時音はニコニコと笑顔を返してくる。

この笑顔が見れただけでわざわざ高等部に出向いた甲斐があるというものだ。
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