純情ロマンチカ

独占欲
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「…………」

いつもバタバタと、せわしなく家中を走り回る美咲の足音が今日はしない。

「…………」

原因は俺だ。







「美咲」

俺はその日もM大まで美咲を迎えに行っていた。

「げ…ウサギさん…」

俺の姿を見るなり困惑した表情を露にした美咲の腕をとり車に乗るように促すと美咲は力強く腕を振り払う。

「ウサギさん!いっつもいっつも、いい加減にしろよな!!目立つんだからいちいち迎えに来んな!!!」

いつものことなのだからこちらとしてもそろそろ慣れてもいいとも思うんだが。

「言い分なら家でたっぷり聞いてやる。とりあえず乗れ」
「ちょっ…!」
「こんにちわ。宇佐見さん。」

振り払われた腕を再度掴もうとすると例の“先輩”が現れた…。いや、正しくは、ずっと美咲の後ろにいたが視界にいれようとしなかっただけか。

「……どうも」

こいつは苦手だ。俺の記憶が確かなら、こいつが関わった時はろくなことがない…。

「……………」
「あ…えっと…お、俺さ今日、角先輩と本屋行く約束してるし!」

俺の機嫌が一瞬にして悪くなったのを察したのか美咲が隠れる訳がない背中で“先輩”を隠すように間に入る。

「…………」
「す…すぐに帰るし」

そんな美咲の後ろで笑っている“先輩”もムカつくが必死になっている美咲にも腹が立つ
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