純情ロマンチカ

甘いけど苦いキス
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「……ウサギさん…煙草減らしなよ」

情事のあと、いつものようにキングサイズのベッドで煙草を吸っていると、意識を手放していた美咲が虚ろげな瞳を向けながらそんなことを呟いた。

「美咲…大丈夫か?」

少し激しくしすぎたのか疲労の色が見える美咲が心配で、髪を優しく撫でてみると

「…っ…は…話逸らすなよ!」

美咲は照れたように俺の腕を払いのける。

「煙草…最近、また量増えてるし…」
「そんなことないよ。」
「嘘だ…え?ちょ…!ウサギさッ…」

そんな美咲が可愛くて煙草を灰皿に押しつけ消すと美咲の唇に自分のそれを合わせる。

「ッん…ぁ…」

いきなりのキスで驚いたのか、目を薄く開いてみると大きな瞳と視線がぶつかる。すると美咲の顔が真っ赤になって美咲はぎゅっと瞳を閉じた。

「…ッはぁ…なにすんだよ…」

少し長いキスを終えると美咲は顔を真っ赤にしながら唇を手で拭う。

「美咲が心配してくれたから嬉しいんだよ。」

その仕草だけでも愛しいと思ってしまう俺は美咲に世間一般的にいうメロメロって奴なんだろう。

「べ、別に心配なんてしてないし…ただ…」

照れている美咲は言葉の終わりを濁すように枕へと顔をうずめる。でも俺の耳にはしっかりと美咲の声が聞こえた。

「…ウサギさんのキス……甘いけど苦いから…」
「…………」

こんなに可愛い奴をなぜ手放すことができるんだろうか。

「美咲…もう一回するぞ」
「は?…えッ!?ちょっと待て!!!!!こらバカウサギー!!!!!」

美咲は誰にも渡さない。孝浩にもあの人にも。

俺はもう美咲しかいらない。

END
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