純情ロマンチカ
□久々に感じた匂いは…
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最近…ウサギさんの様子がおかしい。
「………………」
前まであんなに触りまくってきてたのに、ここ一週間は全く触られてない。
「ウサギさん?」
というか顔すら合わせてくれない。今だって部屋の前でノックして名前を読んでも無反応。
「………………」
仕事は終わってる筈だ。一週間前に学校から帰ってきた時にマンションの下で会った疲労困憊の相川さんは原稿持ってたし…。
そっか…相川さんに下で会ってからウサギさんとはまともに顔を合わせてないんだ…。
「………………」
俺、なんか怒らせることしたのかな…。
ご飯が美味しくない?
いや…ご飯は食べてる。俺がいない間にだけど…。
俺が居るのが鬱陶しくなった?
いや…鬱陶しいと思ったらウサギさんはハッキリ言うし。
もしかして相川さんと、そういう関係になったとか…?
…それはないか。ウサギさん相川さんの事、人間じゃないとまで言ってたし。
後、考えられるとしたら…俺の事、嫌いになった…とか?
「……………」
いやいやいやいや!なに俺、ネガティブになってんだよ!ポジティブ!ポジティブに考えないとなっ!
「……………」
…どうポジティブに考えたらいいんだよ…。
〜♪♪〜♪♪♪〜♪〜♪♪♪〜
ウサギさんの部屋の前で項垂れているとポケットに入れていた携帯が鳴った。この着信は…。
「あ、相川さん?」
はっ!まさかマジでそういう関係になったから俺に釘をさすつもりじゃ…!ってだからないって!じゃなくて、なに俺、狼狽えてんだよ!
「も…もしもし。」
『あ、もしもし美咲君?』
内心わたわたしながら通話ボタンを押すと電話の向こうから明るめの声が聞こえてくる。
「あ、はい、お疲れ様です。バイトですか?」
その声にホッと胸を撫で下ろす。いつも通りの相川さんだ。
『ううん。先生の具合どうかと思って。』
「………え?」
だが、胸を撫で下ろしたのもつかの間、相川さんの言葉に目を見開く。