純情ロマンチカ

心配
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大体にしてウサギさんは自分のことに対して適当すぎるんだよな…

「はぁー」

もう何度目だろうか…締切後のウサギさんが倒れるのを見て溜息をつくのは。

「ウサギさーん?部屋で寝たらー?」

ソファにうつ伏せたまま動かなくなったウサギさんの肩を揺すって起こそうと試みるものの起きる気配は全くなく微動だにしない。

「仕方ないなぁ…」

起こさないように、そっとソファから離れ、寝室からタオルケットを持ってきてウサギさんに掛ける。

「…こうなるの分かっててなんであんな仕事の仕方するかな…」

埋もれたままのウサギさんがいるソファの肘置きに顎を乗せてウサギさんをみる。綺麗な銀の髪がサラサラと垂れている。

「…こんなんじゃいつか本当に倒れる気がする…」

その銀の髪に触れてみると、自分の髪とは違って少し硬かった。

「…心配かけんな…バカウサギ…」

いつもは触られる方だから、髪、耳、少ししか見えてないけど頬…とここぞとばかりに触ってみる。

自分と同じ性別の筈なのにウサギさんと俺はどこもかしこも違う。小さい時は置いといて、今は一緒のもん食ってんのになんでこんなに肌とか髪とかのさわり心地違うんだろ。

「…んっ…」
「…っ!!?」

不意にウサギさんから声が漏れ、慌てて隠れてみる。だが、暫くしても次の言葉は発せられず、恐る恐る元の位置に戻るとウサギさんは寝返りはしていたものの、規則正しい寝息をたてていた。

「…び、びっくりした…」

今だにドキドキと鳴る心臓をなんとか落ち着かせ、寝返りをしたことにより完全に見えるようになったウサギさんの顔を覗き込む。

「…やっぱ格好いいな…」

男の俺でも本当に格好いいと思う。切れ長の目に長い睫に少し高い鼻に形のいい唇…。まぁ性格は俺様だけど。

「…………」

いつも一緒にいるのに、じっくり見る機会がないから未だにウサギさんの顔にはドキドキする。っていうか多分慣れることなんて一生ないと思う。

「…はまってる…ってことなのかな…」

俺がなにかをする度にウサギさんは新たな一面を見せてくれる。その度に俺はウサギさんのことを好きになっていく。

少しずつ溜まっていた『好き』は、いつの間にか抜け出せないぐらいの『愛してる』に変わっていた。

「…未亡人にだけはするなよな…」

このまま行くと若いうちから未亡人決定だ…。と寝ているウサギさんに言っても返ってくるわけもなく、

「好きだよ…ウサギさん…」

たまに発した本音は、シン…と静まりかえる部屋の中に消えていった。

END
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