戦国BASARA

接吻
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出会って想い通わせて早数ヶ月。

今まで文のやりとりもしていたし、暇があれば他愛ない会話のみだったが逢瀬もかさねた。

「…幸村…」

それなのに接吻は想い通わせた時にしたきり。

それもこれも…

「は、破廉恥ですぞっ!」
「イテッ!」

己のこの性分のせいなのだ…。





「旦那?な〜に悩んでんの?」
「む…?あぁ佐助か…」

破廉恥な行為をしようとしていた政宗殿を殴り飛ばした数日前のやりとりを思い返しながら、ある事に悩んでいると背後から佐助の声がして我に返る。

「……聞きたいことがあるのだが…。」
「なに?」

此処は、やはり情報通の佐助に聞いてみた方がよいのかもしれん。

「佐助…やはり恋仲の者同士というのは…せ、接吻は…するものだよな…?」
「…はい?」

佐助から変な声が聞こえた。佐助のその反応に眉をひそめる。

「…しないものなのか?」

もしや己の思い違いか?と己の後ろに立っている佐助の方を見ると、佐助は困ったような笑顔をむける。

「う〜ん。するのが普通だと思うけど…なんでそんなこと聞くわけ?」
「……それは…。」

言われて口ごもる。言えるわけがないではないか…。自分の性分のせいで政宗殿と接吻していないなどと。

「っていうか独眼竜の旦那だったら接吻なんて当たり前にしてくるんじゃないの?」

そんな己の心情を見抜いたように放たれた言葉に体が強張る。

「まぁ旦那ってその歳の割りに初心だから『破廉恥なっ!』って言いながら逃げてそうだし、実際はまだ1回ぐらいしかしてなかったりして〜。」

まさか見ていたのではあるまいな…と疑ってしまうほど的確な言葉に一瞬にして顔の血の気が引いていく。

「…え…本当に?」

己のその反応に佐助は「なんか…ごめん…。」と肩をぽんぽんっと叩いてくる。

「…佐助…他言は無用ぞ…」
「…はいはい」

「わかってるよ…。」と言いながら佐助は隣に腰を下ろす。

「で?恋仲同士は接吻をするのに自分のせいで独眼竜の旦那と接吻できずにいるからどうにかしたいって?」
「…そ!そのようなことは!」

率直に言われ、顔に熱が集まる。その場を去るわけにもいかず、せめて熱くなった顔を隠そうと下を向く。

「…ただ…政宗殿に嫌われるのではないかと…」
「それはないと思うけど…」

その佐助の言葉に下を向いていた顔を上げ佐助を見ると「う〜ん」と悩んでいた。

佐助が政宗殿とのことでこんなに悩んでくれるなど本当に珍しい。
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