結界師
□誤解
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「…………」
開いた口が塞がらない。
「…なんだよこの状況…」
なんで俺の部屋で…っていうか俺の布団の上で…
「何してるんですか頭領!」
「うるさい!お前は早く帰れっ!」
兄貴と刃鳥さんが争ってんだ!?
「えーっと…刃鳥さん?」
「なにっ…!」
なにがどういう訳でこうなっているのか分かんなくてとりあえず刃鳥さんに声をかけるとすぐに怒声に近い声で返される。
「…っ…!」
その声に恐怖を感じながら固まっていると、刃鳥さんがこちらを向いた。
「っえ!?よ、良守くん!」
すると刃鳥さんが我に返ったように声色を変えた。
「なんで…!?」
「…え…なんでって俺の部屋なんで…」
「あ、違っ…!ご、ごめんなさいっ!まさかもう良守くんが帰ってくる時間だなんて思わなくて…」
あまりにも変貌する刃鳥さんと、未だに人の布団の上で横たわっている兄貴に動揺を隠せない。
「…いえ…っていうか…」
―…男女が二人…布団の上で…―
変な考えが頭を巡る…
兄貴に限ってそんなことはないって分かってる。
でも刃鳥さんって美人だし…。
夜行でも兄貴の側で仕事してるし…。
かなり出来る人らしいし…。
俺…捨てられる…?