薔薇マリ壱
□嫌なものは嫌
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「…メイド服か…」
メイド服にいい思い出はない…まぁ普通あるわけないけど…僕にとって『メイド服』は昔の苦い思い出を思いだしてしまうものでしかないんだ…
ガラスに映る自分をみると昔の嫌な思い出…『マリアンヌ』が立っている
「…………」
『彼女』を見るだけで胸が苦しくなる…裏切ってしまった貴方…こんなにも後悔しているなんて…
「……元気に…してるかな…」
「誰がや?」
「ヒッ…!!!!!」
突然背後から声をかけられ変な声をあげてしまう。
「あっ!」
振り替えると、今一番殴りたい魚…いや、カタリが魚眼を丸くしてこちらを見ていた。
「マリアローズこないなとこでなにやってんねん?」
「カ〜タ〜リ〜…!!!!!」
その阿呆顔が余計に僕の苛立ちを募らせる
「なんや?」
「なんや?じゃないよ!なんで僕がこんな格好しなくちゃいけないんだ!!!!!」
白いエプロンを乱暴にとるとそれをカタリに投げ付けた。
「イタタ…なんでて…バイト紹介してくれゆうたんマリアローズやないか」
「確かに言ったけど誰がこんな格好したいっていったんだよ!もういい帰る!」
「は?お、おいっ…!マジで帰るんかマリアローズ!?」
「当たり前だろ!店長には君から言っておいてよね!」
そういって僕は急いでメイドカフェを後にした。
後からカタリに聞いた話だけど。
「マリア…あぁ本当にキミはなにを着ても美しい…」
僕が帰ったなんて知らないアジアンはずーっと僕がコーヒーを持っていくのを待っていたらしい。
でも仕方ないだろ…嫌なものは嫌なんだから…
END