薔薇マリ壱
□強くなりたい
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「マリア…落ち着いたカイ?」
「…うん…」
Zooの皆と別れ、向かった先はアジアンの部屋…。もちろん無理矢理連れてこられたわけじゃなくて、僕が来たいって言ったから…
「珍しいネ…マリアが自分から僕に近づいてくれるなんて」
「…うん…」
自分でもどうしてアジアンの部屋に行きたかったのかは解らない…解らないことだらけで頭の中がモヤモヤする…
「…なんにもないんだね…」
アジアンの部屋はそんなに広い訳じゃないのに家具などがないからとても広く…そして寂しく感じた。
「必要なもの以外は置かないようにしているからネ」
あるのは必要最低限の食器類とベッドだけ…
「ねぇ…アジアン…」
「なんだイ?」
僕は真っ直ぐベッドに向かい外套を外しながらアジアンを見据えていつもなら絶対に言わないような言葉を放つ
「アジアンと一つになれば…僕は君のように強くなれるのかな…?」
どうかしてるって自分でも分かってる…でも今の僕にはそう言う以外出来なくて…
「…マリア…」
アジアンの顔が悲しそうな顔へと変わっていく…。
「マリアは…ボクのようにならなくても充分強いヨ」
「…どこが?」
アジアンの言葉に苛立つ。強い?なにが?どこが?そんな慰めの言葉なんていらない…
訝しげな視線を向けるとアジアンはふっと笑い頭を撫でてくる。
「マリアは…ボクよりも…ううん…誰よりも気高い芯の通った強い心をもってると思うヨ。」
「……………」
その手がなんだか心地よくて僕はそのままアジアンに頭を預けた。
「ボクのようになんてならなくてもいい…マリアはマリアにしかない強さがあるんだから」
「…………うん……」
うつむいているから解らないけど…そういうアジアンの声はなんだか震えているような気がした。