薔薇マリ壱
□愛しい存在
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「……最近…」
「え?」
ぼーっとしていたマリアが不意に言葉を零す
「…僕の前に…姿現さなかったね……」
依然視線は前を向いたまま
「あぁ…クランの連中にあんまりにも仕事をしてないから怒られちゃってネ」
「…そっか……アジアンって一応…クランの頭領だもんね…」
微かに声が震えているのは気のせいだろうか?
「マリア…もしかして…淋しかったのかい…?」
「………………………そんな訳ないだろ…馬鹿じゃない?」
変な間の後の振り絞ったかのような声はやはり震えていて…
「大体…君と僕は別に……なんの関係もないし…ただ…」
少し視界に入った橙色の瞳は揺れていた。
「………あ……」
そんな会話を交わしていたらエルデンの東の端まで行き着いた。
「…ここで下ろして」
「ここ?」
マリアが行きたいとこだというからなにかがあるのかと思っていたがマリアが下ろしてと言ったところはなにもない廃屋の上だ。
「ここにナニかあるのカイ?」
「…ちょっとね…」
マリアはそう言うと廃屋のギリギリのところまで歩いていく
「マリア。あんまり端に行きすぎると危ないヨ」
「……うん…」
突然どこかに消えてしまいそうな儚げな背中が愛しくて自然と腕をのばして後ろから抱き締めた…
「ちょっ…離せ!」
「マリア…」
嫌がりながらも抵抗をしないマリアの首筋に唇を何度も落とすとマリアはびくっと肩を揺らした