薔薇マリ壱

愛しい存在
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「なんだい?」

浮かれていたから気がつかなかったけど…。なんだか…今日のマリアは少し様子が変だ

「連れてって貰いたい場所があるんだ…。」
「今からかい?」
「うん…」

ボクの知っているマリアはボクにこんなに甘えてこないし

「そこまでならいいよ。」

なによりも…こんなにも…寂しそうな目をしてはいない…





「じゃあ行くよ?」
「うん…東向いて行って。」

夜が明ける少し前に外にでてマリアを抱えるとボクはマリアを抱いたまま建物の上を走る。

ひたすら東をめざして

「…………」

マリアは何も言わずにボクの首に腕をまわしたままボーっと前を向いていた。

『なにかあったのカイ?』

もしかしたら聞いてはいけないのかもしれない…そう思うとそんな簡単な言葉すら口から出すのが恐ろしい…

「…………」

実はマリアに会うのは久しぶりだったりする…。

クランの頭領の癖にフラフラ歩き回るな!仕事をしろ!とクランの仲間から説教されここ数日はクランで行動していたから。

「…………」

だからお姫様抱っこさせてほしいなんてふざけた理由でもいいからマリアに会いたかった。

「…………」

いつものように怒られて蔑まれてもいいから少しでもマリアに早く会いたかったのに…

「…………」

どうしたんだい?マリア…
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