薔薇マリ壱
□愛しい存在
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「なに?入らないの?」
「…えーっと…いいのかい…?」
「人がいないからって朝っぱらからこんなトコで君のいう【愛】とかを叫ばれても迷惑だし…話長くなりそうだし。それに立ち話も疲れたしね…。別に今すぐ帰ってくれても構わないけど?」
「あ、いや…お邪魔します。」
「はい。どうぞ。」
マリアにすすめられた椅子に座るとマリアも反対側の椅子に腰を下ろす。
「で?なに?あの時は確かに蜥蜴人から逃げなくちゃいけなかったから仕方なく…お姫様抱っこされたけどそれがなんなの?」
片肘をついてまだ眠そうな顔をしながらもマリアの目はしっかりとボクを見つめている。
「えーと…だネ…その…」
本当なら嬉しい展開の筈…だけど今の場合は…なんだか逆に言い出しにくくなる様な展開だネ…
「はぁー……」
言い出しにくいこの雰囲気を一気にかき消したのはマリアだった
「…どうせもう一度お姫様抱っこさせて…とかって話でしょ?」
「……………え………」
バレてる…さすがはマリアだネ…
「別にいいよ」
そうだよネ…駄目に決まっ…て?
「………………え………?」
一瞬自分の耳を疑ってしまった。だってマリアだヨ?あのマリアローズだヨ?
「だから別にいいよって言ってるじゃん。っていうかいっつも許可なくしでかそうとするくせになんで改まって言ってんだか…。あ、でも一つだけ条件。」