薔薇マリ壱
□君ノ居ヌ空間デ君ヲ想ウ
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「……遅刻だ……」
急いで準備をしたのにも関わらず結局、1現目に間に合わなかった僕はとりあえず1現目が終わるまでの間、生徒会室で時間を潰すことにした。
――ペタッ…ペタッ…――
生徒会室までの廊下を歩いているとなんだか違和感。
久しぶりの学校はなんだか妙に校内が静かだ。
「あ、そういえば3年は自由登校だっけ…」
進路も決まり後は卒業のみとなった3年生は確か11日から自由登校になるってアジアンが言っていた気がする。
「…どっちにしろ結局、渡せなかったんだ…」
…っていうことは下手したらアジアンには卒業式まで会えないんだ…
「…卒業…か…」
今まで深く考えたことはなかった。
アジアンは3年生で僕は1年生…でもいつも傍にいたから…。
卒業とか…この学校からいなくなるとか…考えてなかった。
ううん
考えたくなかった…
生徒会室に入ると誰もいない空間が…違う…アジアンが座っていない生徒会長の椅子が虚しく見える
「…なんか重症だね…」
アジアンと過ごした1年間は本当にあっという間だった…
「…………」
アジアンがいない2年間は一体どれぐらい長く感じるんだろう…
「………っ……」
考えるだけで涙がとめどなく溢れる。
「…な…で…」
いつから僕はこんなに弱くなったんだろう…
「…アジ……ン……」
全部…君のせいだ…
君が…こんなにも君のことを好きにさせたせいだ…
誰もいない教室。冷たい空気
いつも感じていた君の気配は感じられなくて…
「……会いた…い…」
君が確かにいた筈の空間が今はとても冷たく感じた…
END