薔薇マリ壱
□なりきってみようシリーズ★
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『教師』
「マリア先生。これ教えてほしいんデスだけど」
この学校に採用されて早いものでもう半年。だいぶ生徒達とも打ち解けてきたし教職員の仕事にも慣れてきた。
「その教科は僕の受け持ちじゃないから担当の先生に聞いてくれるかな?」
「おや?あぁ本当だ。マリアと話したくて急いでいたから間違ったんだネ」
「アジアン…先生って呼びなさいっていつも言ってるでしょ?」
変に懐いてくる生徒もできた
「あぁ名前で呼ぶのは二人っきりの時だけって約束だったネ。ごめんヨ。マイスウィーテスト。」
「誰がマイスウィーテストだ。っていうか言った筈だよ?君の気持ちには答えられないって」
懐いているというよりも好意を持たれていると言ったほうが正しいのだろうか。
「それはボクが生徒でマリアが教師だからだよネ?ならあと4ヵ月もしない内にボクは卒業するんだしそしたら問題はないんじゃないかナ?」
アジアンはこの学校の3年生で1年の後期からずっと生徒会長をしていたぐらい人望・人気のある優秀な生徒だ。
「…問題ありまくりだと思うけど?」
そんな彼が僕に告白してきたのは僕がこの学校にきてすぐのことだった。彼、曰く『マリアに一目惚れしたんだ』だそうだ。
将来有望な生徒の未来を潰すなんて僕には出来ないし、そもそも僕、女の子じゃないし…
「悪いけど諦めてくれる?」
「それは無理だヨ」
…何回…何十回…何百回このやりとりをしただろうか…
「キミがキミである限りボクはキミを愛すると決めたんだからネ」
「…だから!」
――キーンコーンカーンコーン…――
いい加減にハッキリさせようとした瞬間。タイミング悪くチャイムが鳴った
「おや?残念。マリアとの逢瀬の時間ももう終わりのようだネ」
「はぁー…もう良いよ…早く教室に入りなさい」
「わかったヨ。先生」
アジアンは名残惜しそうに僕の頬に触れると足早に教室に入っていく。
そして僕も職員室へと足を進めた
「………」
アジアンが触れた頬がほんのり熱いのは僕の気のせいだろうか?
End