薔薇マリ弐

ハロウィンin2010
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現在、アジアンの格好は、服はいつもの黒い外套だ。なんの問題もない。

…他が問題なんだよね…。

「じゃあどういう意味なんだい?」

ここまでいってもまだ分からないんだ…。

「じゃあ聞くけど…頭の上のふさふさしたものはなんなわけ?」

じっとアジアンの頭の上を見る。そこには獣の耳のようなものが二つ生えている。

「あぁコレかイ?」

アジアンは頭についた耳をいじりながらご機嫌な様子だ。

「今日はハロウィンだからね!ベティに頼んで作ってもらったんだヨ。」
「…ふーん…」

どうでもよさげに(実際どうでもいい)返事をすると、なにを勘違いしたのかアジアンはどこからか服を出しながら戯言を言いはじめる。

「あ、もちろんマリアのもあるんだヨ!ベティから借りてきた魔女のいしょブフッ…!」
「自分で着てろこの変態っ!」

もうなんなわけ!?僕にとってハロウィンって厄日!?

「もういいから帰れっ!」
「ダメだよマリアっ!」

鳩尾にストレートを撃ち込みそう叫ぶが今日のアジアンはなかなか帰ろうとしない。

「トリック・オア・トリートって言ったじゃないか。」
「…だから?」

アジアンの言葉に自然と眉間にしわがよる。嫌な予感でいっぱいなんだけどで。

「だからお菓子をくれないんだったら悪戯だヨ。」

そう言いながら、にこーっと笑うアジアン。多分、僕がお菓子を持っていないと確信してきたんだろう。

…でも残念でした。

「…はい。」
「…え…?」

アジアンにキャンディーを一つ渡す。

「え?ってなに?お菓子欲しかったんでしょ?」

アジアンはどうして?って顔をしながら僕を見てくる。

「…たまたまあっただけだよ!ほら、いいからもう帰れば!」
「あ、マリア!」

その視線に居たたまれなくて今度こそ扉を閉める。

「…ふん…別に楽しみになんてしてなかったし…。」

呟く視線の先にはお菓子の山。

「…追い返さずに一緒に食べればよかったかな…」

今年の10巡月31番目は去年と違ってとても静かな日になった。

END
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