薔薇マリ壱

恐雨
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滑車が付いた父の棺を引きずって、母と手を繋いで歩いていたのも今日のような雨の日だった…。

その時の母は、なにも言ってくれなくて、繋いでいる手も握り返してくれなくて、ただただ遠くを見ているだけで僕の方を見てはくれなくて…。それが母と触れ合った最後の記憶。

そのせいか雨の日が嫌いになった…。

ううん…違う…嫌いなんじゃない…怖いんだ…また大切な人がいなくなっていくんじゃないかって…。

だから君やZOOの仲間たちと出会ってからは、無意識だけど、雨の日は出歩かなくなっていた。

大切な君や皆を失いたくなくて…。





目を覚ましたら君はきっといないんだろう…。僕を部屋に連れていってそのまま立ち去っているに違いない。

君との最後の記憶も同じようになってしまった…。

届かない言葉…
触れられない手…
僕を写してくれない青色の瞳…

でも自業自得だよね…今まで散々君から逃げていたんだから…。

君がいなくなるんだったらこのまま目を覚まさずに永遠に眠ってしまおうか…

そしたら君は、どんな顔をする?悲しむかな?涙を流すのかな?それとも何も感じないのかな?

今更なのかもしれないけど…君のこと…嫌いじゃないから…
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